法面保護・緑化工を環境にやさしい工法で実施しませんか

土壌藻類を活用した環境に
やさしい表面侵食防止技術

概要

  • SDGsへの取組みなど自然環境保全が事業者の責務となる現在、自然環境への影響を避けるため、安価な外来草本を用いた法面保護工や緑化工等ができなくなってきています。
  • BSC工法は、自然な植生遷移の最初に形成される土壌藻類等によるバイオロジカル・ソイル・クラスト(Biological Soil Crust:BSC)が侵食防止効果を持つことに着目し、より早期に在来藻類によるBSCを形成して植生遷移をスタートさせる、環境にやさしい技術です。
  • BSC工法は、国立研究開発法人土木研究所と日本工営株式会社による共同開発技術であり、国土交通省が運用する新技術情報紹介システム(NETIS)に登録しています(NETIS登録番号OK-170002-VR)。
BSCの形成状況例

特徴

  • 簡単で法面整形なしでも施工可能
    一般的な種子吹付工における緑化用種子を、土壌藻類資材(BCS-1)に変えるだけで、施工に伴う改変も少ない技術です。従来のシート・マット型や基材吹付型の自然植生侵入工等と違って、法面整形工なしでも施工可能です。
  • 周辺環境に応じた植生遷移を促進
    BSCにより侵食が防止され、周辺から飛来する種子等が活着しやすくなり、植生遷移がより早くスタートします。周辺の植生や土壌環境、気候条件に応じた自然な植生形成を促進します。
  • 在来種等への環境影響を回避
    日本を含め世界中に存在し、BSCを形成している土壌藻類を利用しており、どこでも在来種となります。また雌雄が無く、無性生殖で増えるため、遺伝子攪乱等の心配もありません。
  • リルからの侵食の拡大を防止
    従来の被覆対策の場合、流水が集まるリル部(筋)から資材が剥離・流失して侵食が拡大していきますが、本工法の場合、水が流れるリル部(凹部)にBSCがよく発達して侵食を抑えるため、リル部の拡大を防止します。
BSC工法適用個所の例 ※侵入した植物・コケ等が生育

主な適用条件

適用できる基盤条件等は、基本的に「道路土工 切土工・斜面安定工指針」における通常の緑化工(種子吹付工、植生シート工、客土吹付工)と同様です。

【工法の基本特性(前提条件)】

  • 植生の侵入・生育状況は、周辺植生や基盤環境、天候、施工時期等により変化する。
    ⇒自然侵入促進工と同様
  • 湧水やスレーキング等で基盤が剥離・崩落するような箇所では別途対策が必要。
    一般的な緑化工と同様

【道路土工 切土工・斜面工安定工指針の緑化工適用区分での適性】

盛土法面

  • 侵食を受けにくい一般的土質の法面、または土羽土を打てる法面

切土法面

  • 0.5以上の勾配&土壌硬度が10~27㎜未満の法面 (一般的な切土面)
  • 0.5以上の勾配&土壌硬度が27~30㎜未満の法面で、全面的に亀裂が入り、風化が認められる、または一部が風化して亀裂(間隔10㎜未満)が認められる法面 (侵入植生は根が入るマツなど一部の植生まで)

なお、以上の条件と別に、表面侵食以外の要因で表土が薄く剥離・崩落すること等が懸念される法面や、仕上げ用の表土と基盤の接着が弱くずれ落ちたり、固結度が低く小礫が落ちる等が懸念される場合などは、それらを防止するための繊維ネット工(現場条件に適合するもの)等との組合せをご検討願います。

設計変更で行う場合、元設計は上記のような点が考慮されてシート・マット工等が採用されている可能性があります。そのような場合は特に繊維ネット工等との組合せをご検討ください。

設計変更で行う場合、元設計は上記のような点が考慮されてシート・マット工等が採用されている可能性があります。そのような場合は特に繊維ネット工等との組合せをご検討ください。

応用事例など

既往緑化工との組合せや補完工等として、また、簡易施工等も可能です。

施工から2年経過しても植生侵入のない従来型の自然侵入促進工に対して植生侵入を促した例
種子吹付に応用した例(種子量は左の種子吹付作業後の残り程度だが、植生が繁茂し、侵食も防止)
植生生育不良の植生シート工の上から施工して、検査に合格する十分な植生形成を行った例
ハイドロシーダーを用いずに、汎用型の水中ポンプ+農業用タンクを用いて実施した例(簡易施工)